『 匿名の正義』はあり得るのか、告発サイト管理人の考えとは

「このページを運営するためには匿名性が必要です。私の安全のために、私に関することは全て秘密にしていないといけないからです」とアダムさん(仮名)は匿名を条件に取材に応じた。彼の運営するFacebookページ『Buyers Beware』はケニア人がビジネスの場面において誠実な対応を増やすことを目的に始められたものだが、そのやり方には同ページの利用者でさえ物議を醸(かも)しだしている。その内容とは、乱暴な言い方をすれば、不正を行った者や誰かを騙した者をネット上に曝(さら)し上げることにほかならないからだ。アダムさんによれば、裏切りや不正行為こそがケニアにおけるビジネスの最大の障害になっているという。彼は現状を改善するために2017年に同ページを立ち上げ、現在では三万人以上の利用者が登録している。

Buyers BewareのFacebookページ。

「ビジネスマンなら日本や中国、インドでEコマースが流行っていることはご存知のはずです。例えば、日本ならクリック一つで簡単に車が手に入ります。ケニアでそれが可能だと思いますか?被害に遭った多くの方が不正を止めさせる機会を待ち望んでいます。このページを利用することで、誰もが不正の連鎖を食い止めることに貢献できるのです」

同ページの対象は公共機関や公務員にまで及ぶ。居眠りをして仕事をしていない職員から、権力をふりかざしゴミを扱うかのような乱暴な応対をする者まで、ことごとくやり玉として曝されてしまう。

「例えばナクルの病院に勤務するナースが患者にぞんざいな対応をしていた事例では、彼女のことをこのページで取り上げた後、すぐに彼女は態度を改めました」

実際の告発投稿ポスト。名前や電話番号、所属大学、あらゆる個人情報が曝される。

同ページでは投稿者が悪意を持って誰かを陥れないように、告発には証拠が必要となる。例えば敵対する人間やトラブルのあった元恋人にダメージを与えようと利己的な理由から同ページに投稿をしても、アダムさんが十分な証拠とはいえないと判断した場合にはそのポストが公開されることはない。

.アダムさんは多くのケニア人は善良で誠実だと信じている。しかし、他人を騙すことをいとわない少数のならず者たちがいることも事実だと考えている。そうした者を見つけた場合には、携帯電話の番号からSNSアカウントのスクリーンショットにいたるまで、対象となった者の個人情報はネット上に公開されることになる。

同ページは政治的な話題やゴシップについて投稿することを禁じている一方で、借金をして夜逃げをした人間の情報等も公開している。

「私は政府の回し者ではありませんよ。私の目的はあくまで消費者の問題を解決し、ケニア市民に警告を与えることです。不誠実はいけないよ、とね」

賛否両論はあれど、中には問題解決に貢献してる事例もある。アダムさんは一度取り上げた話題が解決されるまでチェックを行っている。当事者間で解決策が合意された場合は投稿は削除され、名誉が取り戻されるとされる。

「このページからお金は生まれませんよ。ただ、ケニアで商売を行う上であまりに酷い状況を変えたいだけです。商売人には規律が求められます。このページに貴方の情報がアップされないよう、くれぐれもお気をつけて」

筆者:Rahab Gakuru

翻訳:長谷川 将士

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Posted by HasegawaMasashi